ある経営セミナーで印象深い言葉を聞いた。

「他のために生きる。万物のために生きる。」

他人の幸せを願い、草木・動植物・空気・水・空などの自然界の万物と協調して生きる。これこそ明にして快、私が経営にも求めていた人生の理念と出会った気がした。
若松測量設計株式会社に入社して34年目になった。
課長・専務を経て社長になってからも早いもので24年目に入った。
もちろん最初の数年は、売り上げ確保、利益追求に走っていた。公共事業への追い風もあり右肩上がりで業績を伸ばしていった。
しかしいつも、これがわが社の、また自分の人生の最終目的なのかとの自問の気持ちがあった。公共事業が逆風に晒された時その気持ちが更に増大した。
自問自答を重ねて出した結論が冒頭のような経営理念だった。
業績が下がっているのだからと、まずは自分の報酬を社内の誰よりも低く抑えた。それは業績が少し改善された時の税理事務所からのアドバイスで少し戻すまでの3年間続いた。
所得証明書をもらいに行くと、係員から「社長さん、これ桁間違っていませんよね」と言われた笑い話も残った。
社員の給料は昇給させることはできなかったが、減給もなかった。
皆、子育て世代で大変だったろうに、文句も言わずに支えてくれたことに今も感謝している。これが私が社員を「戦友」と呼ぶ所以である。
そんな社員に報いるためにも、社員のみならず社会のために生きる・他のために生きるそんなコンセプトを持った会社にしようと心新たにした。
さらにこれからは万物のためにも生きていこうとの目標が増え、さらにワクワクしているところである。

「人は他のために、他の幸せのために生きていく」

2018年 夏